i -アイ-
次の日から、そいつは面白いものを見つけた、と言いたげに話しかけてくるようになった。
もちろん無視だ。
完璧なそいつが、俺に興味を持ったところですぐに飽きる。
振り回されるような無駄な時間を過ごすのはごめんだ。
「おい、困ってんぞ、やめろ」
そいつを止めるのは、家が財閥のトップでこれまた容姿端麗、REIGNに入ってる御曹司。
「え、やだ。やめない」
平然と拒否するそいつは、ニコニコと笑って俺を毎日のように昼飯に誘う。
放課後は、それこそREIGNのメンバーの先輩たちがやってくる。
俺の名前を呼び、手を振るそいつ。
何をそんなに俺を気に入るところがある。
俺には訳が分からない。
元々、コミュニケーションを積極的にとる人間でもない、それに、とらない方がいい理由が俺にはあったから、友達はいないも同然。
親に黎鳳に入れと言われた。
だから仕方なくここを受けて、秀才枠として入った。
素性を隠して。
なのに、一番面倒な人間に目をつけられたものだ。
放課後、暇な時なのか、どうなのか分からないが、そいつは勝手に隣の席で眠ってる。
最初は俺が目を覚ましたら、そいつを無視して帰っていた。
けれど
「なんで起こしてくんねえの?」
と次の日どやされるのが面倒で、それからは起こしてから帰るようにした。