i -アイ-
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目が覚めれば、目の周りは涙で濡れている。
久しぶりに榛人の夢を見た。
両手で髪をかきあげ、息を吐く。
ちょうどいいタイミングで鳴り響くアラームを消し、ベッドから出る。
シャワーを浴びた後、コーヒーを入れながら、プライベートでも仕事用でもないスマホで、ショートメールを送る。
その相手は
『久遠藍人』
ああ、榛人の夢を見たのはこの子のせいか。
この子に会って驚いた。
榛人に驚くほど似ていた。
目、鼻、口、輪郭、位置までとてもよく似ていた。
髪と目の色は少し明るい。そして、榛人より細い。
写真を見た時と同じ。
けれど、会って思ったのは、纏うオーラから独特な雰囲気、目の力さえ似ている。
でも、榛人には娘しかいない。
その娘も留学中だ。
どういう事なんだろうな。
生まれ変わりだとでも言うつもりか?
REIGNに入ったのも、幹城、海崎をやったのも久遠藍人。
あの亮が黒木のパーティーで庇ったのも久遠藍人。
俺は久遠藍人の笑った顔が嫌だ。
榛人と重なる。
俺を一人にしないと、手を差し伸べた榛人。
その手を握れば、榛人を自分と同じ闇に引き込むと知っていた。
知っていたつもりだった、あの高校時代。
何も知らなかった、高校時代。