i -アイ-
____
「何飲む」
「なんでもいいよ。蓮と同じもので」
佐伯家にまた来た。
今日は、蓮に頼んで慎さんと会わせてもらうことになった。
とはいえ、慎さんが家に帰ってくるのは19時頃。今は17時。
蓮が部屋に入ってきて、冷えたお茶を持ってきてくれた。
「ありがとう蓮」
蓮のベッドを背もたれにして座るあたし。
あたしから少し離れたところに蓮も座る。
「あのさ」
あたしの声にこちらを見る蓮。
「慎さん来るまで寝てもいい?わがままばっかりでごめん」
「…ベッド使え」
あら?
この体勢で寝ようとしてたんだけど。
「お前、疲れてんだろ。少しぐらい頭休ませろ。どうせ起きたらまた考えんだから」
この子は本当に優しいよね。
「ん。」
返事だけして、ベッドに寝転がれば数分で意識を手放した。
頭を休ませる、か。
また、難しいことを言うな、蓮は。
一分一秒でも惜しいのに。
まあでも、滝谷達のおかげでただ遊ぶ時間もある。
REIGNの皆の前でも、そんなふうにほぼ自然体の状態で振る舞うこともできなくもない。
けど、REIGNの皆の前で、緊張の解けた姿を見せるのは今は得策じゃない。