i -アイ-
「利人さんも、亮さんも俺は呼びませんよ」
その2人は呼ばずに、俺の親父を呼んだ。
「榛人の友人で、蓮の父である慎さんだから、呼んだんです」
ふっと笑う藍人。
空気が凍る。
優しい笑顔じゃない。
「あはは、脅しかな?」
親父でさえ、少し引き攣って笑ってる。
「そんな風に聞こえました?」
「……何故、君が自分を危うく見せるのかは疑問だが、俺を味方にしたい訳じゃないってことは分かったよ」
藍人の言葉や雰囲気を即座に読み取り、理解した親父。
俺はまだ、どういうことか答えを聞こうとするレベル。
親父はそうしない。
「お時間を頂いている側なのに、我儘を言って申し訳ありません。」
そう言って頭を下げる藍人。
「名雲碧について、聞きたいことがあります」
親父はその言葉を聞いて、スゥッと表情を消す。そして、
「蓮、席を外せ」
そう指示した。
「は?」
俺にも関係することだ。聞いていても問題はないんじゃ……
「蓮、連れてきてくれてありがとう。ここからは1人で大丈夫だから」
そう俺に笑いかける藍人。
なんだよ、部外者だって言いたいのか?
分かってる、役に立たないかもしれないってことは痛いほど。
でも、