i -アイ-
「何を」
「確か、ここに」
そう言って取り出したのはアルバム。
取り出すとはいえ、カバーは別の本のもので、中から出てきたのがアルバム。
まるで、隠していたかのように。
「こちらを蓮坊っちゃんに見せておいてくれと」
……これ見て黙って待ってろ、ってことかよ。
では、と沙知代ばぁは部屋を出ていく。
この部屋は小さい頃から入ることを許されていなかった。
まあ、小さい頃から悪ガキだったし、ろくな事しねえからだろうとは思っていたけど、大事なものが沢山あるってことなんだろう。
アルバムを開けば、初等部、中等部、高等部の写真。
そこには、ほとんど、藍人にそっくりな榛人さんが一緒に写っていた。
どこかで、親父は誰か大切な人を亡くしたことがあるんだろうってことは薄々感じていた。
そのことを、藍人に話したこともあった。
その時の藍人はどんな顔をしていたっけな。
榛人さんだったんだな。
親父も藍人のことを昔から知っていたんだろうか。
最後のページにマスキングテープで貼られたUSBがあった。
急いで自分の部屋からノートパソコンを持ってきて、差し込むと動画ファイルが入っていた。
息を飲んだ。
9/12
俺の誕生日。
ファイル名は『蓮1歳』。