i -アイ-





『だよね、まりあは分かってんなぁ』


まりあ、確か榛人さんの奥さん。


『慎さんが藍の義父になるのはちょっと嫌だけどね』


『うわあ、まりあまで俺の事いじめるの?もう俺には藍ちゃんしか味方がいないよー』


そう言って赤ちゃんの頬をムニムニ触る親父。

その赤ちゃんはジーッとカメラを見てる。



『慎、なんでもいいからケーキ分けて』


俺を抱いて宥める母さんが、親父に指示する。


『なんでもいいて。』


ケーキの名前は、


「蓮&……藍?」


待てよ、榛人さんとまりあさんの娘って確か留学中なんだよな。


その娘と俺が同じ誕生日で、小さい頃は交流があったってことか。


動画ファイルを探せば、2歳、3歳まで動画があった。


まだ物心がついていない時。



スマホで三國さんに連絡を取る。



『どうした』


「三國さん……御庄榛人さんの娘さんて、名前なんて言うんでしたっけ」



親父が俺にこれを見せた理由。



『……御庄、



藍だ』



藍。



三國さんの声色は、何かを感じ取ったものだった。



「藍人の誕生日って、いつですか」



『そんなん、本人に聞け』



「……ですよね」






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