i -アイ-
「は?」
暁は立ち止まってあたしを見下ろす。
無表情で。
「女の子、大事にしてんだろ」
あたしの顎をガッと掴む暁。
あーあ、ホントに。
「大事に仕方が雑」
「お前はこんぐらいしないと逃げるだろ」
否定できませんけども。
「好きな子いるならこーゆーのもやめた方が」
「分かってんだろ」
あーあー困ったなー。
殺す気か。
「分かった、分かったから離して」
そう懇願すればあたしの顎から手を離す暁。
「顔真っ赤」
「うるせえやんのか」
「可愛くねえな」
あたしをからかう暁。
「つかお前、なんで濡れてんの?」
あ、忘れてた。
「あー!藍人見つけたぞ」
そう叫ぶのは旭。
そしてそれに着いてきた皆。
水遊びの銃やらバケツやらを持ってる。
楽しそうに来たはいいが、暁を見て皆青ざめる。
その光景が面白すぎて笑ってしまう。
「水遊びしてたんだよ」
暁にそういえば、はあ?と言われた。
じゃあな、と言ってみんなの元へ走る。
この水遊びは皆、思い立ってやっているというより、あたしのためにやってくれてるから。
……きっとそうなんだと思う。
「おい、いいのかよこっち来て」