i -アイ-
滝谷が不安そうに言う。
「えー?今日誘ってくれたのって、俺を気分転換させようとしてくれたからじゃないの?」
そう話せば、皆目線をそらす。
本当、こいつらは
「いや、照れんなよ」
あたしがそう言えば
「うるせー分かってんなら言うな!」
皆は皆なりに、あたしの異変を察知してくれたんだろう。
また倍水をかけようとされて、めっちゃ逃げた。
結果昼休み後はあたしと滝谷はジャージで授業を受けた。
放課後はバイトで、帰り道を歩いていると尾行をされた。
路地で巻いて、そして
「巻かれました、すみません」
そうスマホで報告する人間の後ろを取り、気を失わせる。
スマホの画面にはSと書いてあった。
すぐに相手側が異変をキャッチしたのか切られたが、ほかの連絡先を見れば、Sは1人であとはABCDで分かれていた。
多分、Sが1番トップってことなんだろうが。
尾行していた人間は、あたしでも知らない人。
だいぶ下っ端か、違う筋の人。
まあ、尾行が上手いから一般人ではないだろうけど。
Sという人物の番号を覚えた。
名雲碧とは違う番号だけど、端末が違うだけかもしれない。