i -アイ-
そう、あたしは今一般人なの。
というか、パーティーなんてここ何年も行ってないし、しかも男としてとかどんな顔していればいいか分からないよ。
「滝谷は?」
「俺も行かない」
「そっか、ごめんね椿さん」
滝谷の断り方は、ただ単に行きたくない感じだな。
困ったように笑ってみせ、謝る。
すると、
「はぁ」
ため息を吐かれました。
え?
「軽そうなくせに」
ボソッと呟いた椿さん。
「え?」
「いいえ、何も。」
ツンとした表情であたしを見る。
軽そう、とは、あたしの事でしょうか?
それは、悪口ですよね?
「藍人、帰ろうぜ」
ピキッと血管がおかしな音をたてたところで、滝谷があたしの腕を引いた。
「ああ、そうだな。じゃあまた明日、椿さん」
最後まで笑顔で、よし、笑顔だ、あたし。
「ねえ、待って」
まだ何か!?
「あなた、佐伯蓮様と仲がいいの?」
あたしには軽そうとか言いながら、佐伯蓮のことは様付けか……!
「佐伯?あぁ、今日初めて話したけど」
「そう。蓮様に声掛けて下さらない?」
は?勝手にご自分で声かければ?
あたしはイケメンって言われるのは嬉しいけど、軽そうって言われるのは嬉しくない!
あたしはもう拗ねました。