i -アイ-
「どーする?こうなったら別に俺らもどうでもいいしな?お前ん家に送ってやろうか」
家なんかバラすかよ。
「……あー、うざってえ。」
考えるのもダルい。
……でも、よく考えなきゃなぁ。
今、必要なもの。
「……泣きそう」
「あ?」
「お前でいいか、幹城」
その言葉に、ゆっくり目を見開く幹城。
「は?……てめえそっちか」
「……お前のせいだしな」
「おい、お前」
ゆっくり近づく。
「……碧さんには、内緒だよ」
「どういう」
「いいからてめえの家連れてけ」
胸ぐらを掴む。
「頼む」
裏返りそうな声を抑えて幹城の体に倒れ込む。
そこからは記憶が曖昧で、車が止まって担がれて来たのは、そこそこいいホテル。
キングサイズのベッドに投げられた。
「で?」
仁王立ちでベッドサイドに立ってる幹城。
「んぁ……?ヤり方知らないの?」
「あぁ?俺はそっちの気はねえからな」
「ああ」
「つか、碧さん呼ぶか」
「だから、碧さんには内緒だって」
「じゃあ男のデリヘル呼ぶか」
ああ、うるさい。
「んぅ」
どうにかベッドの上で膝立ちになり、幹城に近づく。
幹城は顔色を変えない。
「碧さんはさ……榛人を恨んでる?」
首を傾げれば、眉間に皺を寄せる幹城。