i -アイ-
「うーん、いい答えが返ってくるかは保証できないけど、それでもいいかな?」
「ええ。そこまで期待はしていないわ」
なら頼むな。
椿さんが自分の席へ帰っていってから、滝谷がため息をついた。
「あいつ、昔からそうなんだよ。典型的なワガママお嬢様で、自分が興味無いやつには言葉選ばねえの。あんまり気にするな」
ああ、そうなんだ。
「滝谷、初めて話したんだろ?」
「いいや?でも、椿は名前覚えてるやつの方が少ないからな。」
ああ、理解した。
佐伯に声掛けなきゃ。
あたしは席を立って、佐伯の元へ歩く。
目を瞑って俯いている佐伯の肩を軽く叩くと、あたしを睨みあげた佐伯。
おーう、これが暴れん坊くんの名残?
「ごめんごめん、起こして」
申し訳なさそうに笑ってみせるあたし。
あたしを見て、ピクッと反応する佐伯。
「何」
「なんかね、椿さんが今日の夕方からホームパーティーするみたいで。もし良かったら来て、だってさ。行けそう?」
怪訝な顔をする佐伯。
そりゃ、佐伯なら行くメリットは全くないだろうね。
どうせ、パーティーは今後の情報網を張り巡らすための場みたいなものだし。