i -アイ-
ヴーッヴーッ
そのタイミングで
『A』
碧さんだ。
碧さんからの通話。
「もしもし」
『藍人、大丈夫かい』
どこまで聞いたんだろう。
『幹城が粗相をしたと聞いてね』
ああ、これは、
「問題ないですよ」
幹城が上手くやったか。
『そうか。俺は途中でやめようと思ったんだけれど』
「はは、それにしては乗り気だったんじゃないです?あの本、碧さんセレクトでしょう」
椎名さんから借りた本は全て、女性が好む傾向にある本ばかりだったけれど、1冊だけタイプが違かった。
青春物や、恋愛物ばかりだったのに、最後は結ばれることが許されない2人の物語で、最後に彼女が恋人を殺して終わる。
まるで、碧さんと榛人みたいに。
まあ、榛人が碧さんを好きだったかは分からないけど、狂気じみた話だった。
『バレてたか』
いいや、伝えようとした、の間違いでしょ?
「椎名さんは頑張っていたので、お咎めは無しでお願いしますよ?」
『君は本当に女性に興味が無いんだね』
「今は女の子に割く時間を持てるほど、余裕はないんでね」
『分かったよ。また連絡する』
……次の策を講じてくる。
三國に連絡を取る。
『どうした』
「始まるよ」