i -アイ-
酒でも飲んでやれば良かった。
全部記憶に残ってる。
俺は中坊か。
「みき、しろ?」
前までとんだひょろっちいガキだと思ってたが。
「お前、前締めろ」
こいつ、碧さんの家でずっとアレつけてんのか。
胸抑えてるインナーで、そんなもん抑えて、息苦しいだろうに。
「勃つ?」
「殺すぞ」
殺すぞなんて、いくらヤクザでもこんな軽々しく言わねえわ。
「あはは。」
俺が重く捉えないように気丈に振る舞ってるんだろう。
ああ、面倒臭いガキだ。
「うっわ、お昼だ。寝すぎたごめん」
寝起きだからか、言葉のスピードがとろい。
「お前も今日休みだろ」
「ん、まあね。でも、お前のせいで仕事増えた」
そう言ってスマホの通知画面を俺に見せる。
鬼のような連絡の数。
「これから碧さんからも連絡来るだろうなぁ。」
バフっと枕に舞い戻る。
「それは上手くやっとく」
「ん、頼んだ。碧さんも楽しんでたし同罪だよ」
「楽しんでた?」
「そ。まあそれは幹城には教えない。フェアじゃないからね」
つまり、俺が今回知ったことは話すなってことだな。