i -アイ-
『寝てないってもしかして探してくれてた!?じゃあ明日にしよう、俺は家にいるし、大丈夫だからゆっくり休んで。本当にごめん』
珍しく声を荒らげる藍。
それが周りのヤツらにも聞こえてて、全員ホッとしていた。
「……だとよ」
通話が終われば、全員ため息をついて脱力する。
「焦ったな」
「椎名茉結もパニックになってて話になんねえし」
「……でも、藍人を連れていったヤツらって誰なんすかね」
蓮が静かに話す。
「だよな。でもまあ、あいつが家にいるってことは、そいつらもコテンパンにやられたんだろ?」
「椎名と花火見に行ったのに、最中に駅前にいるってのもおかしいよな」
「……椎名茉結と居て、倒れてそこから連れてかれたって言ってたよな。だとしたら、久遠はなんで倒れたんだろうな」
椎名茉結に名雲碧の息がかかっていたのか……?
それを分かっていて一緒に居て、花火まで。
椎名茉結が藍を劣勢に立たせることが出来るとしたら……
「薬……?」
自分で盛っておいてあそこまでパニックになることも考えにくい。それがどういうものか聞いてなかったのか?
全部憶測だが、駅前で騒げば大事になって、椎名茉結が口を割るとも限らない。
それを分かってわざわざ藍は駅前に?
そして、名雲碧側が連れていったのか?