i -アイ-




『寝てないってもしかして探してくれてた!?じゃあ明日にしよう、俺は家にいるし、大丈夫だからゆっくり休んで。本当にごめん』



珍しく声を荒らげる藍。


それが周りのヤツらにも聞こえてて、全員ホッとしていた。



「……だとよ」


通話が終われば、全員ため息をついて脱力する。


「焦ったな」


「椎名茉結もパニックになってて話になんねえし」


「……でも、藍人を連れていったヤツらって誰なんすかね」



蓮が静かに話す。



「だよな。でもまあ、あいつが家にいるってことは、そいつらもコテンパンにやられたんだろ?」



「椎名と花火見に行ったのに、最中に駅前にいるってのもおかしいよな」



「……椎名茉結と居て、倒れてそこから連れてかれたって言ってたよな。だとしたら、久遠はなんで倒れたんだろうな」



椎名茉結に名雲碧の息がかかっていたのか……?


それを分かっていて一緒に居て、花火まで。


椎名茉結が藍を劣勢に立たせることが出来るとしたら……



「薬……?」



自分で盛っておいてあそこまでパニックになることも考えにくい。それがどういうものか聞いてなかったのか?



全部憶測だが、駅前で騒げば大事になって、椎名茉結が口を割るとも限らない。


それを分かってわざわざ藍は駅前に?

そして、名雲碧側が連れていったのか?



< 278 / 457 >

この作品をシェア

pagetop