i -アイ-
それに比べて、優介さんの時は容赦なかった。
確かに、海崎が最後まで手を汚せない人間だと分かっていてもあの状況はそこそこ危険だった。
なんの違いだ。
碧さんも幹城も演技じゃないとあたしは見たけど、あたしより完全に上手(うわて)な可能性もある。
……犬であることには間違いない。
慎さんの言葉を思い出す。
あ、話途中だった。
「ごめん最近考え事が1人歩きするんだよね」
「いいよ、ゆっくりで。俺らには時間があるから」
優介さんが優しく言ってくれる。
そのお返しに、ニッと笑う。
「とりあえず、相手の行動の真理は読み切れない。けど、俺を探るのはもう諦めてる。次は俺の力を封じてみんなを潰す、そういう戦法で来ると思う。」
今、碧さんたちにとってあたしの力を封じるのは容易だ。
なぜなら碧さんの家に行ってるしね。
監禁なんか簡単だろう。
でも、
「俺の力を封じたとして、REIGNには暁がいる」
暁の力が強いのはよーく分かった。
ここからだよ。
「俺がここに来て数ヶ月。皆がどれだけ無力か分かったでしょ?」
ただ、過ごしてきたわけじゃないよね?
「ここまで、相手は手を抜いて様子を伺ってた。でもこれからは容赦ないと思う。だから、俺一人の力じゃ守るのに無理がある。というのも、俺はほかでも動いてるからね」