i -アイ-



見られてると調子が狂うところも無きにしも非ず。


「今日は久遠がいるから女の子多いなー」



旭が冗談っぽく僻むように言う。



「そんな事ないでしょ?」



「いいや?あっちに手振ってみ?」



そう言われ、振ってみる。



「キャー!!!!藍人くーん!」


すごい歓声。


「元気だね」



イケメンに手を振られて騒ぐ気持ちは分かるけど、実際自分となると、複雑。



男子のバスケはやっぱりスピードが違くて、コロコロ変わるシチュエーションが楽しい。


すると、バスケに誘ってくれた片森旭(かたもりあさひ)が投げたパスが上手く渡らず、ボールが女の子たちの方へ向かう。



「やべえ!」



旭の声で足が動く。



ダンッ



ボールがぶつかりそうだった子の前に立ち、壁に手を着く。


ボールはあたしの背中に当たって落ちた。



「危なかったー。大丈夫?」



結果、壁ドンみたいになっちゃったけど、決して狙ってないからね?



「だ、大丈夫、です」



顔を真っ赤にする女の子。



「そか、なら良かった」



「久遠ー!わりぃ、さんきゅ」



「いやー。つか、見た?俺の瞬発力」



振り返って旭たちの元へ歩く。



< 30 / 457 >

この作品をシェア

pagetop