i -アイ-
見られてると調子が狂うところも無きにしも非ず。
「今日は久遠がいるから女の子多いなー」
旭が冗談っぽく僻むように言う。
「そんな事ないでしょ?」
「いいや?あっちに手振ってみ?」
そう言われ、振ってみる。
「キャー!!!!藍人くーん!」
すごい歓声。
「元気だね」
イケメンに手を振られて騒ぐ気持ちは分かるけど、実際自分となると、複雑。
男子のバスケはやっぱりスピードが違くて、コロコロ変わるシチュエーションが楽しい。
すると、バスケに誘ってくれた片森旭(かたもりあさひ)が投げたパスが上手く渡らず、ボールが女の子たちの方へ向かう。
「やべえ!」
旭の声で足が動く。
ダンッ
ボールがぶつかりそうだった子の前に立ち、壁に手を着く。
ボールはあたしの背中に当たって落ちた。
「危なかったー。大丈夫?」
結果、壁ドンみたいになっちゃったけど、決して狙ってないからね?
「だ、大丈夫、です」
顔を真っ赤にする女の子。
「そか、なら良かった」
「久遠ー!わりぃ、さんきゅ」
「いやー。つか、見た?俺の瞬発力」
振り返って旭たちの元へ歩く。