i -アイ-






「てめえ」



スキンヘッドが前に出る。



「あ?」



その i の声一つでスキンヘッドは足を止める。



赤髪よりも、酷く、酷く苦しくなる殺気。


立っているのが精一杯だ。



「邪魔しないでくれ。REIGNの皆まで吐いちゃうよ」



そう軽いふわふわした声で言う。



そうしてゆっくり赤髪の方を見る。



「いい歳して、ずっと駒でいる気か。俺はあんたより半分も生きてないから説教するつもりはねえよ。ただ、勿体なくて仕方ねえ」


そこで赤髪が、ソファから降りる。


藍人は立ち上がり、赤髪の動向を伺う。


「ここ、か」


俺らの方からじゃ見えないが、藍人の頬を触ったらしい。


そして、腹に向かって拳が振り下ろされた。

が、一瞬で赤髪の体が吹っ飛ばされた。




「俺とは、やれねえよ。宍戸」



ソファに飛ばされた赤髪は、



「ふ、はは、ははははは」



また笑う。



「御庄榛人にも昔そう言われたなぁ。……ああ、くたばってくれて清々してたのによォ」



はぁはぁ、と息を切らしながら、赤髪は



「お前は、あいつの生まれ変わりかなんかなのか?」



ニィッと笑って、でも眉は八の字にして涙を流した。



「喜んでくれて、何よりだ。宍戸」




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