i -アイ-
何が何だか俺らには、知る余地もない。
こいつは、俺らをあそこに連れて行った。
危険に晒した人間。
にも関わらず藍人をここまで送ってきて、しかもここから病院に送る?
どういうことだよ。
「大丈夫だから、乗りな」
「藍、説明しろ」
三國さんが冷静に聞く。
「説明はあとでゆっくりする。こいつが信用できるんじゃない。使えるから使ってる。……ここに長居するつもりは無い。乗ってくれる?」
これは、前にも言われた。
幹城は信用できるから繋がっているんではなく、使えるから繋がる。
尻拭いは自分でできるようにしてある。
なら、
「……蓮」
司さんが車に乗り込む俺を呼ぶ。
「俺は藍人を信じる」
俺の言葉に幹城を睨みつつ一人一人乗る。
最後に藍人が乗った時だった。
幹城もステップに足を上げ、藍人の腰に手を当てて、藍人が頭をぶつけないように入口の上の部分に手を当てた。
そして、藍人が乗るとするりと手を離し藍人の横の席に座り扉を閉めた。
「出せ」
その声に運転手が車を出す。