i -アイ-
「仲がいいんだなぁ」
三國がブチギレてる。
三國も察したか。
「藍、幹城は潰していいのか」
俺が聞けば、
「いいよ」
「何承諾してんだ」
「嘘だよ。ダメだよ。……俺より弱いんだから可哀想でしょ」
「一言多い。……はぁ、お前と話してると疲れる」
そう言って、藍の頭を自分の肩の上に乗せて窓の外を見る幹城。
「ありがとな、幹城」
「なんなりと」
「みきしろさーん、病院でいいんすよね?ホテルじゃないっすよね?」
運転手の言葉に、運転席をバコッと蹴飛ばす幹城。
「運転手、変えろ」
「ああ」
ボソボソと話している声は、幹城と藍の後ろの席の俺と三國には聞こえてるからな。
病院に着くと、先に幹城が降りて扉を閉める。
「は?」
「今確認してるから、扉開いたら走って」
幹城と藍は何も話していないのに、状況を把握し合ってる。
藍は俺を見て、眉間にデコピンをする。
「ってえな」
「んな顔すんな」
ごめん、と言いたげな顔。
知らねえ、と言いたいところだ。
言っていいはずだ。
返答に悩んでいた時、扉が開いた。
そして、病院の裏口に走る。