i -アイ-
「残念だ」
表情を消す碧さん。
「碧さんの元へは、眠りに来てるだけですから」
碧さんの腕の間から抜けて、布団をかけ直す。
「分かったよ」
碧さんはまた、いつも通り後ろからあたしを抱きしめて眠った。
朝起きて、朝ごはんを作って、碧さんが起きる頃にあたしは碧さんの家を出る。
病院でREIGNの皆と別れてから、ほぼ毎日碧さんの家に帰る。
碧さんも仕事で家に帰らない時があるからその時は自分の家に帰る。
「健気なこった」
学校まで歩く最中(さなか)、あたしの隣を並行して歩くのは
「うわぁー、変質者だ」
幹城。
黒フードにサングラス。
朝から怪しい格好だ。
「そんなずっと潰してっと無くなるぞ」
「……変態がいる。おまわりさーん」
「やめろばか。心配してやってんだろ」
「余計なお世話。じゃあね」
あれでも、一番危険な立場なのは幹城なのだと知った。
色々感謝はしてるが、それもあたしの為と言うより、幹城の行動は全て、
「藍人、はよ」
滝谷が隣に来る。
「おう滝谷。おはよ」
REIGNを辞めたことは一瞬で広まった。
その理由までは公表してないが、暗黙の了解で皆何も言わない。
そんでもって、忘れていた学園祭は女装喫茶。
男子は午前午後で交代制。
滝谷もあたしも、蓮も午後。