i -アイ-
「藍人くん、どれにする?」
どれにする?って言われてもな。
今日は衣装合わせ。
「藍人くん、他の男子より線細いし、チャイナドレスとかどうかな」
なんでそんなに目を輝かせているのかな。
「……なんでもいいよ。皆にお任せするよ」
「はは!藍人お前、チャイナかー、スリットかー、エロいなー」
「おい変態、興奮すんな猿」
「あ!?してねえわ冗談だわ」
早口で否定する滝谷。
さっきから足組んで腕組んで目を閉じて、拒否体勢を取る蓮。
その前でアリスの服を持ってソワソワする女の子たち。
蓮、アリスか、
「ぶ、はっ」
あたしが笑えば、パチッと目を開けた蓮。
ああ、久しぶりに目が合った。
「良かったな、蓮。アリスだぞ、可愛いな」
久しぶりに話した。
あたしのボケに反応しないであたしをじーっと見る蓮。
ああ、毒気を抜かれる。
周りもあたし達の会話に釘付けになる。
REIGNを辞めて、REIGNの皆と接触してない。
というのも、一番関わっていた三國と一切話さなくなったからだ。
「れーん。聞こえてる?」
あたしは、蓮と友達になりたかった。
純粋に。
蓮の目の前で手をヒラヒラとすれば、腕をガッと掴まれて、次の瞬間
「普通に、喋って、いいのか」
抱きしめられた。