i -アイ-
「あは、負けたよ。じゃあ仕事してくるね委員長さん」
「は?」
蓮の腕を掴んで教室の外に出る。
「1-A女装喫茶しまーす。明日来てくださーい」
「おい!やめろ!見られるだろ」
「は?宣伝ってそういうもんだろ」
「いや、お前はいいかもしれねえけど」
「……あ?」
あたしの威圧にビクッと反応する蓮。
「あはは、そんな取って食われるみたいな顔するなよ。」
「凄い可愛い」
「え、女装って言ってるよね?」
「もしかして、1-Aって」
「アタシたちは午後に出まーす」
「藍人くんだ!凄い綺麗……」
たちまち騒ぎになる。
「こんだけやれば満足だろ、椿さん」
「早く帰ろう」
蓮があたしの腕を引く。
「あ?蓮?なんだその格好」
ああ、そういう事。
あたしが前を見れば、三國と暁。
2人とも固まる。
そして下から上にあたしを見る。
2人とも死ぬほど嫌な顔をする。
2人とも顔を合わせるのは気まずいし、会いたくなかったな。
「蓮、俺あっち宣伝してくるわ。じゃあな」
蓮の肩をポンポンと叩けば、
「え、ちょ、待っ」
焦った声を上げる蓮。
「大丈夫だ、お前は可愛い」
「そういう事じゃ」