i -アイ-
「顔、ちょっと疲れてます。」
「あぁ、そう?いつもより少し仕事が多いから。でも、楽しい気持ちが勝ってるから大丈夫」
優介さんは前よりあたしに向ける目が優しい。
「あ、あそこにクレープありますね。司さーん、クレープ食べましょ!」
前に向かって言えば、呆れたように振り返る司さん。
「お前って、遠慮とかそういうの欠如してんの?」
遠慮するところ、あった?
「あんなん、人混みだろ」
ああ、忘れてた。
この人たち、お金持ちか。
人混みとか、並ぶとか好きじゃないのか。
「あー……、じゃあ俺一人で行ってきまーす」
拗ねたように言えば、
「ったく、仕方ねえな」
「へへ、優しいですね」
i のときのあたしは絶対に出さない。
藍人として全員と接する。
噴水の淵に腰をかける4人。
あたしと司さんはクレープ屋の列に並ぶ。
皆こちらをちらちら見る。
「お前、あれから動いてんのか」
司さんが小さく呟く。
「愚問ですね」
「あれから、三國は俺らともあんまりつるまねえんだよ」
やっぱりな。
「溜まり場にも本当に時々しか来ねえ」
その理由は、多分あたしの予想通り。