i -アイ-




「大丈夫。三國はREIGNの皆が大好きだよ。」


噴水の淵に座る三國を眺めて、ふっとあたしは笑う。


「……お前」


「あ、司さん!どれにしますー?」



あたしたちの番が来て、司さんの声をわたった。

注文をして、出てくるまでの間、また司さんが話す。


「お前は、三國と暁のこと、どう思ってんの?」


……それは恋バナというものだろうか。


「さあ」


敢えて答えない。

申し訳ないけど、それは全て終わった時に本人に話すから。


「じゃあ、蓮のことは」


蓮?

ああ、そうか。司さんと蓮は幼なじみで、蓮の面倒をずっと見てきたのは司さんなんだもんな。


近くにあたしがいればその分心配だろう。



「友達です。この前、ある人に言われたんです。お前は純粋で真っ白だって。俺がいつも蓮に言う言葉と一緒だったんです。……きっと、俺は羨ましいんです。蓮のことが。」



「羨ましい?」



「……純粋で真っ白で居られる環境に居て、愛されて、それでいて人の心を動かす。それって凄いことじゃないですか。俺は弱いから、ずっとその部分を隠すことに必死だった。素の自分で戦うことは、ダメージを諸に喰らうことになる。それが怖かったから」





< 353 / 457 >

この作品をシェア

pagetop