i -アイ-
『榊の坊ちゃんたちと回ってるんだね?』
やっぱりそうなるよね。
「ええ。押しかけられてしまって。そんなに心配なら、盗聴器でも付けてくださいよ」
そう話せばくすくす笑って
『 i は盗聴器なんか付けても、細工が出来そうだから考えていなかったよ』
「あれ、バレてました?」
と笑えば、碧さんも笑う。
『親父に会う日程が決まった』
つまり、あたしの命運が決まる日。
下手なことをすれば、殺される。
そんな世界に飛び込む。
今日みたいなちょっとした動きも命取り。
そう碧さんは言いたいんだろう。
『今週末の15時、本家で挨拶をする。前日から俺の家に泊まって準備をしなさい。挨拶後、18時から親父の誕生日会が行われるから、それにも俺と出席する。』
親父さんに挨拶後、鬼龍組の面々に挨拶するってことかな。
「かしこまりました。スーツは」
『俺の方で用意したから心配しなくていい。』
「え、サイズとか」
『愚問だな』
「セクハラですよ」
冷めた声で言えば、ククク、と喉を鳴らす笑い方をする碧さん。
『昨日、制服のサイズを見させてもらっただけだ。怒らないでくれよ』