i -アイ-
「今回も君の品定めをしたいが為に、あの場に居たと言っても過言じゃないと思うよ」
親父は俺の行動に痺れを切らして確実にREIGNを潰すために人材を送り出した。
それも失敗に終わり、俺が難航している理由を察したのか一旦手を引いた。
このままじゃ自分の駒が減るばかりだと。
まあ、俺は難航しているわけじゃないが、親父がそう思うことに関しては別に問題無い。
親父の頭を悩ませる原因である i がこちらに着く。
それはきっと親父にとってもプラスだ。
が、しかし、問題は榛人にそっくりなことだ。
藍人はどう振る舞うかな。
準備を終え、本家に向かう。
本家まで俺と藍人は言葉を交わさなかった。
「着きました」
本家に着き、下っ端の立ち並ぶ庭を歩く。
「名雲碧様、お疲れ様です」
親父の側近である宗像耕三(むなかたこうぞう)。
その位置に、昔俺の親父が居た。
名雲寿之(なぐもとしゆき)。
親父はとある失敗をして殺された。
鬼龍灯志に。
まあそれは別に気にしていない。
俺は養子だからだ。
元は孤児院に居た。
ヤクザに養子にとられ、父親に駒のように使われてきた。
けれど今は、その側近に敬語を使われる立場、若頭まで上り詰めた。
孤児だった俺が。