i -アイ-
親父がいる部屋まで案内され、中に入る。
親父の前に2人で座る。
「親父、お久しぶりです」
「おう、元気だったか」
親父の仕事はほぼ俺が一任されているため、親父に会うことも少ない。
「ええ。今日はお時間頂きありがとうございます」
顔を上げてふっと笑う。
「久遠藍人です。親父も知っているかと思いますが、ここ最近傍に置くことにしました。巷では、 i と呼ばれている男です。」
親父が藍人を見る。
「久遠と申します。」
そう言って頭を下げる藍人。
「何故こちらにつこうと思ったんだ」
聞きたいことは山ほどあるだろう。
「気分です。」
でも、藍人に聞いても無駄だ。
殺気を出す親父。
「未成年を大人から守ろうと思ったのも、正当なやり方で喧嘩をしたかっただけですし、REIGNに入って八澄会の人達と喧嘩していたのも、人の野望を近くで見るのが楽しかっただけですし、今ここにいるのも社会科見学のようなものです」
淡々と話す藍人。
「碧、なんでこいつを連れてきた」
脅威はもちろん俺に向けられる。
「使える人間だからです」
ここは、敢えて俺も淡々と答える。