i -アイ-




「やあ、初めまして。 i は音を聞いて駆けつけるって本当だったんだなぁ。俺の足音を聞いていたの?」


音羽さんと似たゆっくりとした話すテンポ。


音羽さんの表情はほぼ無表情だけど、臣さんは微笑んでいる。



「はい。ですが、足を止めて気配を消されたので少し自信がありませんでした」



クスッと笑うあたし。



「親父に挨拶して、OKは出たの?」


この2人は知っているのか。


「一応、そのようですね」


おー、と感心する臣さん。


スッ、と灯志さんの部屋の扉が開き、碧さんが出てきた。


「待たせたね、藍人」



「いいえ」



頭を下げれば、ポンポンと頭を撫でられる。


……音羽さんと臣さんが居るのを分かっているのに、それをするってことは



「碧さん、お久しぶりです」


軽い調子でそう話しかけるのは臣さん。


襟足が長い黒髪のウルフヘア、前髪は長めのセンターパートでキリッと整った眉にタレ目。

黒のラフなジャケットのセットアップに白のタートルネック、シルバーのネックレス。


身長は180後半ありそう。

どこかのモデルのような容姿とファッション。


周りに容姿端麗な男性は沢山いるけど、ここまで着飾ってこだわりがありそうな人は初めて会った気がする。




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