i -アイ-
ニコッと笑う久遠の顔が、不覚にも綺麗だと思った。
男相手に気色悪いけど、こいつは中性的な顔をしているからな。
「じゃあな」
そう言っていつも通り、他の奴らの所へ帰っていく久遠。
あいつの声、やっぱりあの人に似てる。
最初は純粋な疑問だった。
けど、今は、同一人物であって欲しい。
そんな願望が俺にはあるのかもしれない。
「そんなに久遠藍人が気になるか?」
放課後にいつもREIGNが集まるマンションのワンルーム。
ソファの定位置でゲームをする司さんが呟く。
今日は三國さんは他の用事があって、優介さんは生徒会の仕事、暁さんは寝室で寝ている。
「え」
「暁さんに考えろって言われてから、ずっと考えてんだろ?」
司さんは、大抵無気力で面倒くさいことが嫌い。
けれど、1番優しかったりする。
「司さんは、あいつ見てどう思いました?」
「普通ではねえな、
三國さんと暁さんの反応が」
やっぱり、そう思うか。
「まるであの人たちは久遠藍人に深入りするなって言ってるみたいでなぁ、どうもつっかかる。」
あいつに知る価値があるとは思えねえけどな、そう司さんは言った。