i -アイ-




「さっきは、口が悪くてすまない。気分悪かっただろう」



……ああ、鬼龍灯志と話してた時、あたしのことこいつって連呼してたこと?



「全く気にしてませんよ。というか、俺への言葉遣いを気にする人なんて碧さんぐらいですし。」



「そうか」


何やら納得したように言う碧さん。

家柄も立場も年齢も、丁寧な言葉遣いで話す必要性は i には1ミリもない。



「逆に、いつもありがとうございます。気を遣っていただいて」



「いいや、俺が勝手にやっている事だからね。」


あたしが風下にならないように、碧さんが風下に立っていて、柵に腕を置いて寄り掛かる碧さん。


あたしは柵を背もたれにしていて。


煙草を携帯灰皿に入れて、碧さんも柵を背もたれにする。



「不思議だな」


珍しく素のような低い声で呟く碧さん。


「君は酷く落ち着く。でも、俺につく理由も分からなければ、そこまで俺を守ると言う理由も分からない。俺はそんな人間そばに置くような人間じゃないのにな」


ただただ危険なはず。


利益になるか不利益になるか、それが一切分からない。


これも一種の博打。



「君の目的が分かれば全て分かるんだろうな」



あたしの目的。




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