i -アイ-
「宍戸さんが死んだのがお前のせいだってもっぱらその噂で持ち切りなんだよ」
手を下したのは鬼龍灯志だが、そのきっかけを作ったのはあたし。
「おい、やめとけ」
他の下っ端が止める。
いい判断。
ここで上が話でも聞いてりゃ大変だ。
「じゃあお前は最初の1時間、ここでやってくれるか」
見る範囲が広めな場所。
「ええ、分かりました」
でも縁側で景色がいい。
1時間なら全然いいな。
縁側であぐらをかいて座る。
もちろん、岸麟太郎や南偉織も出席していて、あたしを見て鋭い目付きをした。
鬼龍灯志派と、名雲碧派。
まあそこまで強い派閥間の争いとかはないみたいだが、仲がいいわけでも無さそうだ。
「なあに、お前見張りなの?」
あたしの隣にストンと座って酒の入っているであろうグラスを置く臣さん。
「ええ。ここでは下っ端ですから」
「へえ、意外だな?お前って組織とか嫌う人間だと思ってた」
i は一人で行動するからな。
そう思われても納得出来る。
「まあ、組織には興味ありませんが、碧さんの不利益になることは避けたいので」
「ほお、愛だねえ」
勘違いされてるなこれは。
まあこうなるように、あの時あたしの頭を撫でたんだろうけど。