i -アイ-
「ま、あの二人の意向に逆らう事ほど面倒臭いことはないだろうけどなぁ」
そこなんだよな……。
「まあでも、面白いんじゃねえの?」
司さんがコントローラーを置いて、俺に笑いかけた。
「刺激があって」
……この人、他人事だと思ってるな。
「そんな事ねえよ?」
え、口に出してたか?
「お前は正直者だからな、考えてることが顔に出るんだよ。」
そう言って、キッチンへ向かった司さん。
ガチャッと扉の音が聞こえ、暁さんがリビングに入ってきた。
司さんの元へいき、炭酸水を持ってソファの俺の隣に座った。
この人は、久遠藍人と知り合いなんだろうか。
「……んだよ」
寝起きの、いつもより更に喉奥からやっと出てきたような低い声。
「え、」
「黙って見てんじゃねえよ。なんか言いてえならさっさと言え」
未だに緊張する、暁さんの隣は。
三國さんはいつもまるで一般人かのように明るく接してくれるから、傍に居やすい。
けど、暁さんは常に空気がピリピリしてる。
「久遠藍人について考えてたんです」
そう言うと、暁さんは俺を見た。
静かに。
……怖ぇんだよなこの人。