i -アイ-
「秀才枠の1年。両親は居ないが、親戚に引き取られて、極々普通の一般人だ。」
それは、俺も調べた。
けど、
「偽サイトでしょう?あれ」
普通の人間じゃ分からないが、俺らは分かってる。
「本当の履歴を隠蔽する、政治家も使うような何でも屋のサイト。そんな、デカい額を支払わなければ作れないサイトを、なんで久遠藍人が作れるんでしょう」
いつの間にか家に入ってきていた、優介さんが淡々と話す。
「何か知ってるんでしょう?暁。」
ゴクゴクと炭酸水を飲み干した暁さんは、ペットボトルを捨てて、
「あいつに関わるな」
それだけを言って部屋を出ていってしまった。
「やっぱりね〜。叩くなら三國じゃなくて暁に限るね。三國ははぐらかすのが上手いからな」
メガネを中指であげ、不敵に笑う優介さん。
「久遠藍人かぁ。蓮、クラスではどんな感じなの?」
「絵に書いたように普通。でも、俺にも普通に声をかけてくるんです」
「わあ、肝が据わってるね」
「気をつけろよ?お前を手駒にしようとしてるのかもしれねえし」
あれが全部演技だとしたら、そうなんだろう。
しかも、俺を怖くないと言った。