i -アイ-




_____



「榛人ぉ、今日の放課後どぉするー?」


「あー今日の放課後かー」


教室でも廊下でもどこでも、榛人の周りには女がいる。


「碧〜今日放課後ラーメン食い行かね?」


ガッと俺の首に腕を回す榛人。


「は?」


「ねえ榛人、あたしが先誘ったんじゃん」


そう言って俺を睨む女。


確かどっかの令嬢。

そこそこ顔はいい。


そんな女が、こんな秀才枠の男に負けるのは屈辱だろう。



「あ?俺がしたいことをすることの何が悪いの?」


真っ直ぐな目で女を見る。女はぐうの音も出ない。


「な、碧、ここがいいと思うんだけどさ」


「テスト近いし、勉強するから無理」


俺の返答にキョトンとする榛人。


「勉強なんか、授業中にしてればいいだろ」


御庄榛人は、家良し顔良しスタイル良し、プラスして全国模試トップの秀才。


榛人を馬鹿呼ばわりするのは、


「聞いてくれよ。碧が、勉強するからって俺とのラーメン断るんだよ。意味わかんねぇ」



「馬鹿かお前」



REIGNの人間ぐらいだ。



「あぁ?てめえ、亮」



「テスト前っつーのは普通は勉強するもんなんだよ。テスト前日に女と遊んでるようなやつはお前ぐらいなんだよ」


はぁ、とため息をついてたまり場で教科書を読む亮。



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