i -アイ-
「分かったよ。今日でいい?」
そう答える。
ここまでが、こいつの作戦だとしても、乗るしかない。
「お!!!やったね」
____
「碧さん、俺先出ますね」
同じ顔の男。
「送って行こうか」
「大丈夫です。寄るところあるんで」
あの頃の榛人に比べれば落ち着いてるか。
律儀に朝食まで準備して。
結局、榛人には会ったことがあると言ったが、それ以上は語らなかった。
久遠藍人は、御庄藍と繋がっているのかもしれないとふと思った。
御庄藍も久遠藍人と同じ歳。
榛人に出会っているとすれば、小学生くらいだ。
テーブルの上のスマホが震える。
「どうした」
『朝早く申し訳ありません。渋木の件で』
あの頃、俺はまだ汚れを知らなかった。
いい時間だった。
榛人が、俺を恨んでないとしたら、か。
榛人は全てを知ってる。
もしかしたら、死ぬことを選んだのかもしれないな。
けれど、だとしても、俺は俺が許せない。
「始末する」
俺の枷。
俺は死ぬまでこの道を行く。
それが償いだと思ってる。
藍人の目的がなんであれ、未来ある君には俺のような思いはさせない。