i -アイ-




「……」


近くまで送迎してくれるのは、


「臣さん、早く出してください」


「え、あ、あぁ」


黒ってやっぱ男の人好きなんだな。


「タイトスカートって、動きづらいんじゃない?大丈夫?」


まともなことを言う臣さん。


シートから腰を上げて、ガッとスカートを上げる。


「え、何してんの」


「ほら、下に着てるんで、動きたい時は上にあげれば大丈夫です」


横目であたしを見て、はぁ、とため息をつく臣さん。


「男らしくて萎えた」


「逆に興奮しないで貰えますか」


「いや、女装似合いすぎだし、綺麗すぎでしょ。」


「ありがとうございます。変装って結構使えるんで得意なんですよ」



タイトスカートの中に見せパンを履いてきた。

タイトスカートの方がラインが見えるから釣れるんじゃないかと思ったけど、そうじゃなくても釣れたのかもしれないな。


「じゃ、ここで」


目的地よりも1kmほど遠いところで降ろしてもらう。


路地裏を選び、人通りの少ないところを歩く。


着いたビルの地下一階、エレベーターを出て突き当りの部屋。


扉を開けば、独特な薬の香りが充満し、座り込む人間もいれば壁に頭をぶつける人間、性行為をしている人間、人を殴り続ける人間。




< 404 / 457 >

この作品をシェア

pagetop