i -アイ-
「……」
近くまで送迎してくれるのは、
「臣さん、早く出してください」
「え、あ、あぁ」
黒ってやっぱ男の人好きなんだな。
「タイトスカートって、動きづらいんじゃない?大丈夫?」
まともなことを言う臣さん。
シートから腰を上げて、ガッとスカートを上げる。
「え、何してんの」
「ほら、下に着てるんで、動きたい時は上にあげれば大丈夫です」
横目であたしを見て、はぁ、とため息をつく臣さん。
「男らしくて萎えた」
「逆に興奮しないで貰えますか」
「いや、女装似合いすぎだし、綺麗すぎでしょ。」
「ありがとうございます。変装って結構使えるんで得意なんですよ」
タイトスカートの中に見せパンを履いてきた。
タイトスカートの方がラインが見えるから釣れるんじゃないかと思ったけど、そうじゃなくても釣れたのかもしれないな。
「じゃ、ここで」
目的地よりも1kmほど遠いところで降ろしてもらう。
路地裏を選び、人通りの少ないところを歩く。
着いたビルの地下一階、エレベーターを出て突き当りの部屋。
扉を開けば、独特な薬の香りが充満し、座り込む人間もいれば壁に頭をぶつける人間、性行為をしている人間、人を殴り続ける人間。