i -アイ-
「警察を呼べ、ね」
碧さんにそうお願いした。
対極しているはずの二つ。
「碧さんレベルになると、そういう世界とも繋がっているだろうと思って」
じゃなきゃ、とっくのとおにヤクザなんて存在しないだろう。
「これで、ひとつ貸しが出来たわけですし」
世の中真っ白なもんばっかりで成り立っているなんて、この期に及んであたしも思っていない。
汚れたものを容認するつもりはないが、これも現実だ。
「学校はどう」
いきなり話題が変わった。
「俺みたいな人間とつるんでるのはバレてない?あそこは結構厳しいからね」
……この人も自分の家のことがバレて退学したんだっけ。
「大丈夫ですよ。学校じゃ優等生ですから」
「そう」
「碧さんは何故黎鳳を辞めたんです?」
この際聞いてしまった方がいい。
「バレそうになったんだよ、親が鬼龍の人間だってね。」
「バレてからでも遅くなかったんじゃないです?」
「はは、分かっていて聞いているね?藍人」
そういうことか。
バレてからだと、REIGNのつるんでいた人間が疑われる。
良くないイメージがつく。
裏社会と繋がっているんじゃないか、って。