i -アイ-
「俺は、高校が1番楽しかったからね。その後はずっとこの道で生きてる。」
20年以上、この世界で、この世界のトップで生きてる。
「全てが終わったら、温泉にでも行きましょうね」
窓の方を見て呟けば、
「君の目的が達成されたら、ってことかな」
「ええ」
「俺を守って、君の目的が達成されるのか?」
あたしだけの力で達成することは出来ない。
亮さん、どこまで進んだかな。
「碧さん」
碧さんの方を見れば、ん?と目線をこちらにくれる。
「碧さんが今、1番守りたいものはなんですか」
答えない。
碧さんは、本当のことを答えない。
答えられない。
「藍人、君は知っているのになぜ俺を試そうとするんだ?」
「俺を、どれだけ信頼してるか知りたいんです」
クスッと碧さんは笑って
「俺が君を信頼した時、裏切ろうとでもしてるのかな」
嘘はつかない。
「そうです。でも、良い意味で裏切りたい。サプライズってやつですよ」
「いらないよ」
碧さんが窓の外に目線を移す。
「怖い、です?」
「ああ、怖いね。悪いサプライズの方が性に合ってる」