i -アイ-




まるで、i のような存在だと思った。



「でも時々、心を開いていない相手に、本気で圧をかけたい時に本性を出す。」



「御庄榛人って男に歯向かう事ほど怖いことは無い。当時はそんな感じだったよね」


聖さんがゆったりと話す。


「そんな榛人の気持ち悪い部分を抽出しちゃったのが藍って感じかな。多分、自分が女でナメられやすいからってこともあるんだと思うけど、榛人に慣れてる俺らじゃなきゃ、普通に会話できないよね」



親父が亮さんを見る。



「お前はまだ疑われてたからだろ。俺は安心しきった顔した藍しか見てないからな。」



「は?嘘だろおい。」



「俺を信じても、俺以外を信じるのは危うい。そう藍は判断したんだろ」



亮さんはナプキンで口を拭いて、ふぅ、と息を吐いた。



「本題に入るか」



和やかな空気が一変し、緊張する。



「藍がREIGNを抜けた時あったことを整理してみろ」


亮さんが視線を向けるのは三國さん。


「藍が何者かに階段から突き落とされて、槙野祥が病院に連れていった。そして俺らは幹城京馬に廃ビルに連れていかれ宍戸李麻、岸麟太郎、南偉織と対峙し、そこに藍が現れて宍戸李麻が死んだ。その後、藍は頭の手術をしてREIGNを辞めると言った」





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