i -アイ-
放課後、家まで歩いていると、スマホが震えた。
『暇?』
久々に三國から連絡が来た。
そこそこ、と返すと
『駅北口』
と、集合場所と、美容室の名前、そして
『お前だって分からない格好にしてもらえ』
その連絡通り、美容室に歩く。
「こんにちは」
中に入ると、オーナーさんらしき男の人が、
「お、藍ちゃんだね」
え?顔パスなの?あたし。
「あ、僕は高瀬由稀(たかせゆき)。利人の友達で三國の担当美容師ってところ。」
そういうことか。
「おいで」
スルッとあたしの腰に腕をまわし、螺旋階段を上がっていく。
「いやあ、びっくりした。榛人さんそのものだね?」
「榛人に会ったことあるんですか?」
「あるよ?僕も黎鳳だったからね。あ、秀才枠だけどね」
じゃあ、これに着替えてね。
そう言われて、試着室のような所に案内されて、手渡されたシャツワンピースに着替え、低めのヒールのパンプスを履く。
シャツワンピースのウエストはリボンを結ぶタイプ。
大きめのストライプの柄に胸ポケットが可愛い。
パンプスは、エメラルドカラーのワンピースに合わせたグリーン。