i -アイ-
三國さんの説明で、大人たちが顔を合わせる。
「槙野か」
「久々に聞いたな、槙野」
「藍は榛人さんの昔の友人だと」
三國さんがそう言えば、大人たちは首を縦に振る。
「榛人が拾った秀才枠は槙野祥と名雲碧の2人だ」
拾った……?
「榛人は面白いものを見つけたら手放さない」
元さんがニッと笑う。
「槙野は家が倒産して退学になりそうになったところを榛人が理事長に直談判して、秀才枠として通えるようになった。今じゃ槙野は絵で食えるようになった」
「榛人の心の闇の部分にリンクした名雲碧は、榛人のおもちゃと化して最終的には親友になる。」
「榛人に思い入れが強い順で言えば、碧、槙野、そんで俺たちってところだろうな」
俺たちは驚きのあまり固まった。
その2人こそ、逆。
そう見える、だけなのか。
「碧が自主退学したのも俺らのためだしな」
聖さんが呟く。
「どういうことですか」
「碧の親父は当時、今の鬼龍組組長の鬼龍灯志の側近をしていた。そのことを隠して碧は黎鳳に通わされていたんだが、その事がバレそうになって、俺達に悪いイメージがつくのを懸念してあいつは黎鳳を辞めた。まあ、あいつは無口だからそんな説明もなく辞めたんだが、俺ら全員がそういう事だと理解するくらいには、碧はREIGNを大切に思ってた」