i -アイ-




名雲碧が本気なら、俺らは今頃死んでいる。

そういう事なんだろう。



「つまり、榛人を殺したのも」



「鬼龍、灯志、ですか」



「ご名答」



暁の言葉に親父が指を鳴らす。



「榛人を殺すのも、当時幹部だった名雲碧に任されてた。それも、碧が仕向けたことなんだがな。碧が高校を辞める時にはもう既に榛人は危険な状況下にあって、碧はその状況を変えるべく鬼龍灯志の懐に入って守ろうとした」


どんどん、名雲碧の見え方が変わっていく。



「が、碧の時間稼ぎも虚しく、鬼龍灯志の手が下った」



「待ってください。調べましたが、榛人さんの携帯電話は履歴が消されていて、誰かに呼ばれてあの道に言ったと思われます。鬼龍灯志に呼ばれたとは考えにくくないですか」



三國さんが必死に聞く。



「そう、そこが肝だ。さすが俺の息子」



がはは、と笑う元さん。



「碧が呼んだんだ。」



頭がごちゃごちゃだ。

結局……いや、答えを知りたがるのは良くねえんだよな。


それにしても、入り組みすぎてねえか。



「まりあと藍が殺されるか、榛人が死ぬか、どちらか選べ」



聖さんがゆったりと話す。


背筋が凍った。



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