i -アイ-
名雲碧side
「榊の件、進んでいるのか」
2度目の催促。
ああ、この日が来たか。
「ええ。数日後、決行しようと思っていることがありまして。」
鬼龍灯志は、気が短い。
少しでも気を抜けば首を切られる。
俺は毎回、時間を稼ぐことが8割。
それ以外に出来ることといえば、その時間稼ぎがいかにバレないように演技するか。
この男を何らかの理由をつけて殺すことさえ出来れば、後釜は間違いなく俺。
でもそうもいかないのが現実。
鬼龍の仕事をほぼ全て俺に鬼龍灯志が振るのは、自由に動くことが出来ないようにするため。
それに、うちの幹部は結構優秀だからね。
「藍人、REIGNを集められる?」
彼は俺を見上げて、
「その日が来たんですね」
俺の心を見透かすように笑う。
「この日のために、俺はREIGNのメンバーの信頼を獲得してきたんですよ?感謝してください」
人懐っこく笑うが、言っていることは少しも可愛げがない。
亮、慎、聖、そして橘元。
水面下で鬼龍のことを調べていた。
そんなこと俺に任せればいいのに、案の定鬼龍灯志の目に付いた。
俺には守るものがある。
だから、守るものを増やさないで欲しかった。
そんな時に、久遠藍人が現れた。