i -アイ-
ソファに座る碧さん。
ソファの肘掛に座るあたしは、碧さんに貰ったスーツを着てる。
逆側には幹城。
カチカチとジッポをいじってる。
「やあ」
笑う碧さん。
目は笑っていない。
一般人が経験しない仕事を積んできた人。その経験が目に表れている。
あたしですら後ずさりしたくなるのに、皆が耐えられるわけがない。
皆の肩に力が入るのが分かる。
「俺のこと、知っているよね。藍人に聞いていただろうから」
酷く発音のいい声が、倉庫に響く。
「ああ、そう言えばこの間集まってたんだっけか。亮達と」
碧さんも知ってたか。まあ、当たり前か。
「何を話したのかな。気になるなぁ」
嫌な、予感がする。
「なあ、藍人。何を話したか、知ってるか?」
こちらに、来るか。
「想像はできますけど」
「どんな想像?」
嫌だなぁ。
碧さんは i として対応できないからな。
i として対応したら、はぐらかしたと思われるだろう。
「REIGNをどう守るか、そして、御庄藍をどう守るか」
碧さんだけを見てそう答えた。
目の色が、変わった。
「御庄藍、ね」
そして、目を逸らす。
久遠藍人が、御庄藍に目を向けていることに懸念を抱いたか。