i -アイ-
「はは、碧さんが動揺しないでくださいよ」
「藍人」
幹城が横目であたしを見て制す。
あと1つ。
碧さんをどう守るか、も話しているかもしれないな。
でもそれは、あたしに任せて欲しい。
「ま、会食は、俺や碧さんは気付くと分かっていて行ったことでしょうから、そんなに気にすることではないんじゃないですか」
亮さんならもっと上手く隠すことだってできる。
それをしなかった理由は、ただ1つ。
碧さんだって分かってる。
けれど、ここではそれらしい会話をしなければいけない。
「……そうだな。そろそろ呼んでくれるか」
「ええ」
碧さんの元を離れ、REIGNの皆のそばに居る下っ端にアイコンタクトをとる。
それを川切りに下っ端たちがREIGNの縄を解く。
そしてあたしと幹城は両サイドの扉を開く。
「お願いします」
100人近い鬼龍の下っ端さんたち。
ここまで人数を呼んだことだって、碧さんの作戦のうち。
「お手並み、拝見させてもらうよ」
碧さんの言葉で、下っ端さんたちが叫びながら立ち向かう。
もちろん素手で、なんてルールはない。
残念ながら、こちらはヤクザっていう不良の究極体だからね。