i -アイ-





「ぐっ」


「受け身取れよ、だせえな」


「……はっ、俺ってでかい事知ってるか?投げられることなんてほぼねえよ」


と言いつつ何事もないように立ち上がる。



「……やっぱ、三國と喧嘩するのは時間かけちゃダメだね」



三國に走って近付いたと見せかけて飛ぶ。

胸にドロップキックして、普通なら倒れるんだけど三國はよろける程度。


空中で体を反転させて、肩車のように上に乗って三國の片方の腕を頸動脈に当て、腕ごと脚で締める。



「〜〜〜っ、かはっ」



みるみる三國の顔が赤くなっていく。



「おい!藍人!!!」


三國はよろよろと藻掻くが、最後膝まづいて、あたしはスッと離れる。


頸動脈を確認すれば、ちゃんと脈が感じ取れて



「だから、殺さないって。落としただけだよ」


蓮に答えれば、ホッとしてる。


「藍人は、綺麗だね」


頬杖をついて碧さんがあたしに微笑みかける。


「そうです?結構力技でしたけど」



「自分の体躯をちゃんと理解して認めていなきゃ、その動きは出来ないよ」



華奢でも、非力でも、小さくても、喧嘩に不向きな体つきだとしても、それを生かせば強い武器になる。




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