i -アイ-
「暁とは、どんな喧嘩するんだい?」
碧さん、楽しくなっちゃってるな。
「碧さん」
あたしが嫌な顔をすれば、わざとらしくキョトンとして見せる碧さん。
幹城は手を合わせてる。
おいこら、殺すな。
「暁、出来る?」
「殺さねえからそんなビビんな」
あたしがやりづらいのを分かってて、逆に煽ってくれるのね。
「そう。じゃあそのひろーい胸を借りて」
暁はあたしの体の軸を見据えて、軸に向かって拳を振り下ろす。
それ、当たったら絶対痛いよ。
上手く全ての攻撃を避けながら、急所一つ一つに軽くダメージを与えていく。
「何やってんだ?あれ」
幹城の声が聞こえる。
「……強いわけだ」
司さんが感嘆の声を上げる。
最後に、ガードの空いた一瞬の隙を見て、頬に1発食らわせる。
少しよろける暁だけど、それだけで倒れるタマじゃない。
体勢を立て直す一瞬、鳩尾に1発めり込ませれば、暁の目付きが変わる。
「……っは、はぁっ」
ヒューヒューと息をし、汗を流し跪く暁。
「人には急所が沢山あるんだよ。それを全クリすれば人は動けなくなる。」
ある日の喧嘩練習の時、言ったよね。
「分かった?蓮」