i -アイ-




でも、さすがに。


ドサッとあたしも座り込む。



「初めてかも、喧嘩でこんな動いたの」



どのぐらいの時間、よけ続けたんだ?



そして、その時間を何の苦もなく攻撃し続けた暁、しかもまだ動けそうだったこの人は、本当に強い。



「優介さん、暁の背中摩ってあげて。」


何とか立ち上がり、碧さんの元へ行く。


「満足ですか、碧さん」


あたしが声をかけても一点を見て、ぼうっとする。



昔のことでも考えているのかな。



優介さんが暁の背中をさすれば、少しして落ち着いてきたようで。



「藍、もういいんじゃねえか」


パンッ、と暁が三國の頬を叩けば三國が目を開く。


「はっ、てめ、藍!殺す気か!」


元気だな。


「もういいって、何が」


三國は無視で。



「お前は、何が目的でそこにいるんだ」



暁にそう聞かれる。


「腕治ったら俺とも喧嘩してよ」


司さんが笑う。



「俺もお前みたいに強くなりたい。つか、超えたい。教えてくれ」


蓮が真っ直ぐ気持ちをぶつけてくれる。


「君のためなら、利益とか不利益とか関係ないよ」


優介さんは、いつも優しいな。


「そろそろ戻ってこい」


首を擦りながら、そう叫ぶ三國。



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