i -アイ-
語頭に、名前を呼ばないのは、そういう事かな。
「榛人さんはお前になんて指示したんだ」
暁の言葉に、あたしは碧さんを見る。
「幹城」
「おう」
幹城があたしの声で、こちらに物を投げる。
それを掴んで碧さんの後ろに周り、
「碧さん、動かないで」
銃口をコメカミに突き付けた。
碧さんはゆっくり、口を開いた。
「榛人の、指示って?」
「少し待っててくださいね」
ジャケットのポケットの中で震えるスマホを耳に当てる。
「了解」
スマホをポケットにしまい、くるりと後ろを振り返り、音のする方に発砲する。
1.2.3.4、
パンッ
4人にヒットさせた時、残りの1人があたしの肩に1発ヒットさせる。
残り2発残ってる銃を幹城に投げる。
利き手の肩にぶちこまれたから、持てない。
「頼む」
「ああ」
幹城があたしの前に立ち、残り1人を仕留める。
「おー、焦った」
「俺の台詞だ」
「あはは、さんきゅ、幹城」
倉庫の2階、そこに5人こちら側ではない人間がいるのをあたしと幹城は知っていた。
恐らく、碧さんも。
「終わったー?」
「ええ、終わりました。あとはお願いします」
鬼龍臣さんも、ね。
銃声が聞こえたら来てもらうよう待機してもらっていた。