i -アイ-
「じゃー三國じゃなくて、高瀬さんあたしとデートしてくれます?」
なんてふざけて笑えば
「そうするー?」
利人さんの友達は皆コミュニケーション能力高いんだよなぁ。
利人さんが無愛想無表情無口だからな。
「ありがとう、高瀬さん。この服とか後で返しに来るね」
「いいや、三國が全部買ったものだからいいよ」
「え?そうなの?」
「うん。今回のスタイリング代も全部あいつ持ちだから、気にしないで」
わー、三國、慣れてんな。
「あははっ、こんな風に頼んできたのは初めてだよ」
あ、顔に出てたか。
「また来るね!」
お店を出て、三國の元へ歩く。
三國の所へ行く前に、コインロッカーに学校用のカバンをしまう。
「三國、お待たせ」
あたしが声をかけると、三國が振り返る。
そして、固まる。
「三國?」
「……帰るか」
「はい?」
三國は、あたしから目線を外して、ふう、と息を吐いた。
「他のやつに見せんの無理」
「いや、彼氏か」
おっけい、了解。
似合ってるって言いたいのね。
「よし、三國。どこ連れてってくれんのー?」
三國のポケットに手を入れている方の腕に、あたしの腕を組む。
「家」
「マジどつくよ?」
いつもの調子がなかなか戻らない三國。
いつもの調子、とは言っても三國と最後に遊んだのはいつだったか。